遅ればせながらあけましておめでとうございます、ってもう松の内は過ぎていますよね、鏡開きも終わってしまいました。
今年のお正月、私は生まれて初めて関西風のお雑煮を自分で作りました!
我が家は、父が関西出身、母が関東出身なために毎年二種類のお雑煮が出されていました。関東風は、おすましで鶏のささみが入っていて、お餅は角切り。
関西風、というよりも厳密に言うと京都風のお雑煮は白みそ雑煮です。
おすましのほうは、作り方も材料もより簡単ですので、自分で作ったりもしましたが、今年は白みそ雑煮にチャレンジ。母の指示に忠実に作ったらおいしかったぁ〜〜、こればっかりは自画自賛です。
「白みそ雑煮」ってどうやって作るの?とメールで聞いたところ、「白みそ雑煮のミソはずばりお味噌よ!」と鼻息の荒い感じで喜んで教えてくれました。っていうかつまんないオヤジギャグはいらないからって感じなんですけど、苦笑。
昆布と鰹節で出汁をとるところから始めますが、ポイントは昆布を一晩水につけてやわらかくすること。具は京野菜。京にんじんにお大根。お大根は茎の部分も使います。
それとナルトもしくはかまぼこ。
かまぼこなどは早めに入れるとうま味が出ます。
ポイントは(ミソは、って言ってもいいんですけど…)やはり白みそ。特に、「西野」の白みそを使う!というのが絶対条件ということで、成城石井に行って買いました。
そういえばこのお味噌のパックよく年末になると冷蔵庫にあったなぁ〜などと思いつつ。この「西野」の白みそ、恐ろしいほどの量を入れるんです。そうしないとコクが出ないらしい。一人100グラム計算で入れるので二人なら200グラム。
お野菜などの具はごく普通のお安いもので済ませて、お味噌は伝統が育んだよいものを使うことによってコクを出す。
これこそが京の人の知恵。
お餅も京都では「丸餅」を使います。
これをゆでて柔らかくして最後に入れます。
この「白みそ雑煮」、すばらしいのが毎朝新しく作り直す関東風のお雑煮とは違い、三が日くらいは同じ鍋に入っているものをあたためなおせば十分食べられます。
しかも段々煮詰まってきて、お餅の溶けたものも相まりドロドロ…というと聞こえは悪いですが、粘り気が出て、コクも深まり、より一層おいしくなります。
白みそ雑煮さえ大晦日にこしらえてしまえば三が日は楽ができる。
伝統のあるモノというのは、お料理にしろ、お味噌にしろ、もともとのクオリティーがよい分、いらない手間を省くことができ、使う人が楽になる、ということが共通してあるように思います。
そこで話は伝統の「洋服」に飛びます。
「洋服」の伝統、あるいは王道、といえば、やはり「オーダーメード」をおいて他にありません。
そのオーダーメードの人気が再燃している、という記事をニューヨークタイムズ紙で目にしました。
とくにフィレンツェで開催されたピッティ・ウオモのショーがフィーチャーされていました。というのも、ピッティ・ウオモはイタリアのブランドですが、今年のショーのテーマはロンドンのサヴィル・ロウだったからです。
あまり耳慣れない名前ですが、Saville Rowとは、ロンドンにある仕立て屋が並ぶ通りのこと。
小学生の時、家族でロンドン旅行をしました。
父がケンブリッジ大学に通っていた頃に、生まれて初めて自分で仕立てたスーツ屋さんにまた行ってみたいというので。
当時のスーツに刺繍されたお店の名前を頼りに、思い出の仕立て屋を探しました。びっくりしたのは、もう二十年も前なのに、それまでそのお店でスーツを仕立てた人全ての客の記録が残っているのです。
そのお店は、Saville Rowの一角に昔と寸分違わず姿で今もしっかりと商いを続けていました。変わったことと言えば、当時のオーナーの息子さんに代が変わったことくらいでしょうか。
若かりし頃の父が選んだ生地の名前、裏地の種類、名前を刺繍した糸の色から、寸法、すべてインクで黄ばんだ台帳に記されていました。体型はだいぶかわっていましたが(笑)、父はあまりお金が無かった当時よりも、だいぶランクの高い生地でスーツを作り、とても嬉しそうでした。
Saville Rowとは、言ってみればスーツの「西野」みたいなものなのです。
いつの時代も、そこにいきさえすれば腕自慢の職人がいて、上等のスーツがある。
私が「にわかスーツオタク」なのは、こちらのコラムを読んでくださっている方はご存じかと思いますが、とうとう私も「オーダーメイド」してみました!
表参道の路地を奥深くまで入った閑静な住宅街に、cool struttin’(クール・ストラッティン)という「JAZZ」をテーマにしたスーツを作っているお店があります。
店内にはバド・パウエルやセロニアス・モンクといったモダンジャズの巨匠たちの写真が飾られ、サックスがおいてあり、いつもジャズが流れている、とっても素敵なお店。基本的にはメンズのお店なのですが、テイラーメイドで女性のスーツも作っています。
せっかくなので、白黒時代のハリウッドのギャング映画に出てきそうなスーツがいい!というリクエストをすると、すぐこちらの意図をくみ取ってもらえたのか、まさに私のイメージにどんぴしゃりな、オーソドックスで、それでいてしゃれっ気のある生地が次々と目の前に広げられてゆきます。
裏地を選ぶのに結構迷ったんですが、生地自体がチャコールグレーにほそ〜い赤のストライプが入っているものだったので、それに合わせてなんと赤にしてみました!
また、このお店は女性客には特別に、裏地のあまり生地を使ってバラのコサージュを作ってくれます。
神戸の職人さんが仕立ててくださり、一か月を経てできあがったそのスーツを初めて身につけたときの衝撃と言ったら!
見た目はぴしっとフィットしているのに、着てみるとたっぷとゆとりがあってリラックスできる。
スリムなカットで、最近の女性もののスーツの流行もきちんと取り入れられているのに楽!
私はスリムであればあるほど、ジャケットは肩が凝るなぁと思っていたんですが、それがまったくそんなことないんです。
考えてみると、私は日本人にしては背も高いほうだし、肩幅もある。骨がしっかりした体格なので、普通のサイズのスーツも着ることはできるのですが、変なところが窮屈になってしまいます。
でもスリムなほうがスタイルよく見えるし、ふつうに「今ふう」のスーツを着ています。でも、テーラーメードのスーツを着てしまうと、もうこれ以外は着られない!っていうくらいソフトな着心地で、ウエスト周りの作りなども細かいところに配慮が行き届いていてとても使いやすい。
また、プレスがもてもよくて、ワンシーズンはクリーニングに出す必要が無いんですって。スーツ専門店でないところで買った上下で二万円のスーツがあって、安い上にデザインがとても可愛いかったので購入したのですが、センタープレスが着て一日で取れて着崩れてしまったのですぐクリーニングに出しました。
だから、テーラーメードのスーツは初期投資は少し高くなるけれど、(といっても一番安いものであれば十万円弱で作ることができるんですよ、それで自分にぴったりの寸法のものができるとあれば、決して高くはないように思います)トータルで見ると長持ちもするから節約できるのかもしれません。
毎年一着ずつ、その年ごとに春物・夏物・冬物、といった風に作っていけたらいいなぁと思いました。肩が凝らない、生地が肌に当たるのが心地よい、シャツでもカットソーでも丈の合うウエストの位置…まさに理想のスーツです。
最後に、「テーラーメード」という言葉についてですが、あなたはどんな呼び方をされるでしょうか?
イギリスではbespokeというそうです。
耳慣れませんね。
より一般的にはmade to measure、(寸法を)計って作る、と言います。
テイラーメイド、なのかそれともオーダーメードなのか。
イタリア語では「su misura」と言うそうです。これは「あなたの寸法(サイズ)」という意味。
どの言語でも、言いたいことは同じ、「あなただけの仕立て」ということですね。
私はこの「仕立て」という言葉が職人の文化を表している感じがするので一番好きです。どうでしょう、一度お「仕立て」になってみては?あなたのス・ミズーラ♪

